相続登記に関するQ&A

Q1

相続した不動産を近いうち
売却する予定ですが、
それでも相続登記は必要ですか?

必要です。不動産登記は原則、実際の権利の移り変わりをそのまま登記記録に反映させなければならないのです。したがって、不動産の売却前に相続が発生した場合には、まず亡くなられた方から相続人へ権利が移転したことを登記しなければならず、この移転の登記を省略して、亡くなられた方の名義から直接売買の買主名義に移転登記をすることは出来ないのです。

Q2

遺産分割協議は、
いつまでに行わなければならないの?

民法上、遺産分割協議はいつまでに行わなければならないという規定はありません。但し長期間放置すると、相続人の方の中でさらに相続が発生し、手続きが煩雑になってしまったり、相続人が増えたことで協議がまとまらなくなったりすることがあります。したがって、なるべく早めにすることをお勧めします。

Q3

遺産分割協議書は実印で
押印しなくてはならないの?

民法上、押印の種類の規定はありませんが、相続登記を申請する場合には、遺産分割協議書には実印で押印し、相続人各人の印鑑証明書を添付する必要があります。

Q4

相続登記の手続きが終わった場合に戸籍等の書類の原本は返してもらえるの?

お預かりした戸籍謄抄本、(除)住民票、遺産分割協議書、印鑑証明書等の原本は、登記完了後、全て返却が可能です。

Q5

被相続人の戸籍謄本を、代わりに取得してもらうことをお願いできますか?

できます。相続登記を申請するために必要となる戸籍謄本は、司法書士の職権で取得することができます。

Q6

遺言書があったのですが、このまま提出すれば、登記手続きに使えますか?

ご本人が自ら書いた(公正証書によらない)遺言書を自筆証書遺言といいます。自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認の手続きを経なければならず、検認を経なければ登記手続きにおいて使うことが出来ません。
また、公正証書遺言の場合は、検認手続きを経る必要はなく、そのまま登記手続きで使用することができます。

Q7

封印された遺言書を発見したのですが、開けて見てしまってもよいのでしょうか?

封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、これを開封することは出来ないと規定されています(民法第1004条3項)。したがって、開封せず、家庭裁判所で検認手続きを受けてください。

債権譲渡登記に関するQ&A

Q1

債権譲渡登記のためにお客様(債務者)に用意いただく書類は?

法人の印鑑証明書および登記事項証明書(もしくは代表者事項証明書)[3ヶ月以内のもの]を各2通をご準備いただいてください。(登記用、登記事項証明書取得用にそれぞれ1通必要になります)

Q2

登記にかかる登録免許税はいくらですか?

1件(債権の個数5,000 件以下のとき)につき、金7,500円です。

Q3

印鑑証明書や法人の履歴事項証明書の原本還付はできますか?

原本還付は、できません。

Q4

登記完了まで何日くらいかかりますか?

通常、即日処理されます。完了までに要する時間は、登記申請の混雑状況によりますが、1~2時間前後です。

Q5

後から登記した内容に齟齬があり、登記した内容を変更したい場合に変更登記は出来ますか?

債権譲渡登記には、不動産登記にあるような変更登記、更正登記といった手続きはありません。
その場合には、一度抹消登記を申請した上で、再度債権譲渡登記を申請する手続きによることになります。

Q6

債権譲渡登記の登記事項証明書は、誰でも取得できますか?

不動産登記や、商業登記と異なり、誰でも取得することはできません。また、取得できる法務局も、東京法務局中野出張所と同じ所在場所にある債権譲渡登記所のみです。
譲渡登記の当事者、利害関係人(譲渡債権の債務者etc)、譲渡人の使用人、に限られます。

Q7

登記の期間は、何年まで可能ですか?

譲渡にかかる債権の債務者が全て特定されている場合は50年、債務者が特定されていない債権の譲渡の場合は10年です。

Q8

債権の始期、終期とは何ですか?

譲渡対象債権が複数の場合に、譲渡対象となる債権を、債権の発生した時期を始期と終期で区分し、対象債権を明確に特定するための事項です。

Q9

債務者が特定されていない将来の債権も、債権譲渡登記の対象とできますか?

できます。債権の発生原因、債権の種別、債権発生の始期と終期を特定することで登記することができます。

Q10

債権譲渡登記をすることで、仮に同じ債権につき先に債権譲渡を行い、債務者に確定日付による通知をした者がいる場合にも、その者よりも自己の債権譲渡担保権が優先することになりますか?

登記をしたからといって、先におこなわれた債権譲渡に優先することにはなりません。債権譲渡登記には、不動産登記でいう登記の優先的効力はありません。
確定日付通知と債権譲渡登記が競合した場合には、確定日付通知の債務者到達時と、債権譲渡登記の登記日時の先後によって決まります。

Q11

債権譲渡担保を行った場合、第三債務者への取り立ては、誰が行うのですか?

通常、債権譲渡担保を設定するのと同時に、譲受人(銀行)から譲渡人(債務者)に取立委任を行い、これまでどおり譲渡人が通常の事業活動の一環として債権回収し、その資金を事業資金として利用いただきます。

Q12

債務不履行等が発生し、債権譲渡担保権の実行は、どのように行うのですか?

通常、第三債務者への対抗要件は、第三債務者に対して、債権譲渡およびその登記がされたことについて登記事項証明書を交付して通知することです。実務では、内容証明郵便で債権譲渡通知を送り、別途、登記事項証明書を送付する方法がとられているようです。
これにより第三債務者への対抗要件を具備し、以後は自己に対し弁済させ、回収にあてることとなります。

Q13

債権譲渡登記をしている場合において、第三債務者への通知は、通常の債権譲渡と同様に譲渡人により行う必要はありますか?

第三債務者への通知は、民法の規定と異なり、譲渡人もしくは譲受人からも行うことができます。
公的な証明である「登記事項証明書」の交付により、虚偽の通知が防止されることから、譲受人からの通知も有効にすることができます。

Q14

Q12でいうところの「登記事項証明書の交付」は、登記事項証明書の写し(コピーしたもの)でもよいでしょうか?

写し(コピーしたもの)では、「登記事項証明書の交付」には、現時点では当たらないものとお考え下さい。

動産譲渡登記に関するQ&A

Q1

動産譲渡登記のためにお客様(債務者)にご用意いただく書類は?

法人の印鑑証明書および登記事項証明書(もしくは代表者事項証明書)[3ヶ月以内のもの]を各2通ご準備いただいてください。(登記用、登記事項証明書取得用にそれぞれ1通必要になります)

Q2

登記申請してから登記完了まで何日くらいかかりますか?

通常、即日処理されます。完了までに要する時間は、登記申請の混雑状況によりますが、1~2時間前後です。

Q3

登記事項証明書は、どの法務局でも取得できますか?

できません。東京都中野にある動産譲渡登記所でのみ、取得することができます。東京法務局中野出張所と同じ所在場所にあります。

Q4

動産譲渡登記の登記事項証明書は、誰でも取得できますか?

不動産登記や、商業登記と異なり、誰でも取得することはできません。動産譲渡登記の当事者、利害関係人(譲渡動産の差押権者etc)、譲渡人の使用人、に限られます。

Q5

動産譲渡登記にかかる登録免許税はいくらですか?

1件の登記申請(最大1,000 個まで可能)につき、15,000円ですが、現在(平成29年7月1日時点)は、減税措置があり金7,500円です。登記する動産の個数や価格により変わることはありません。

Q6

登記申請書に添付する印鑑証明書や履歴事項証明書の原本還付はできますか?

できません。

Q7

登記の存続期間は、何年間まで可能ですか?

原則、10年を超えることはできません。ただし、10年を超える存続期間を定める特別な事由があるときは、10年以上の期間とすることができます。

Q8

どんな動産でも動産譲渡登記を設定できますか?

原則、すべての動産について動産譲渡登記をすることができます。ただし、動産・債権譲渡特例法第3条に定める「当該動産につき、貨物引換証、預証券及び質入証券、倉荷証券又は船荷証券が作成されている場合」は、動産譲渡登記の対象とすることができません。
また、自動車、船舶、航空機等のように、特別法によって登記・登録が第三者対抗要件と定められている動産は、民法の適用がないため特例法の適用もありません。よって既に登記・登録された自動車、船舶、航空機等は動産譲渡登記の対象となりません。ただし、未登記、未登録の動産は登記することができます。

Q9

動産譲渡登記をすると、どんな効果がありますか?

動産譲渡登記がされると引渡しがあったものとみなされ、「引渡し」を受けた場合と同様に第三者対抗要件を得ることができます。民法第178条により、動産の譲渡の対抗要件は、「引渡し」 です。この「引渡し」には、現実の引渡しに加え、簡易の引渡し、占有改定及び指図による引渡 しも含まれます。
言い換えれば、動産譲渡登記は、不動産登記と異なり登記以外にも第三者対抗要件があるため、登記をしさえすれば、他の登記を有しない引渡しを受けた第三者に優先するわけではありません。
動産譲渡登記を備えた者と「引渡し」を備えた者が競合した場合、その優劣は第三者対抗要件を備えた先後によって決まります。

Q10

動産の所在によって特定する方法(集合動産譲渡)により、動産譲渡登記を行いましたが、対象の倉庫が移転しました。この場合、変更登記はできますか?

できません。不動産登記のような変更登記は動産譲渡登記にはありません。この場合は、改めて移転後の所在に基づく動産譲渡登記を申請する必要があります。

Q11

第2順位で動産譲渡登記を申請することはできますか?

登記申請自体は、受け付けられ登記されます。しかし実体上を考えると、抵当権等の担保権の場合は、登記の先後は優先弁済を受ける順位であるのに対し、動産譲渡登記の場合は、一つの所有権をどちらが先に取得したかという問題となります。したがって、先に動産譲渡登記が既になされている場合は、先にこれを抹消した上で設定する必要があります。